Mr,エンペラのライヴレポート

Guitar Workshop Vol.01 at 真利亞樹2002年 9月23日(月)
Gt:萩谷 清 Gt:杉本篤彦
へへへ、マリアージュに置いてあったチラシのタイトルをそのままいただきました。
スケジュール変更により、約2か月ぶりとなってしまった杉本篤彦さんとのデュオライブ、
今回はロケーションを大磯から横浜・関内に移しての再開となりました。
前回のデュオから管理人さんの使用楽器が、杉本さんと同じギブソンL5シグネチュア・タンジェリン
バーストになり、タンジェリン・ブラザースの誕生となったわけなのですが、なんと杉本さんの楽器が
同じL5シグネチュアながら、1ピックアップのブルーバーストに変わってしまいました!
しょうがない、L5ブラザースと呼ぶかな。 それとも足してL10? それよりLLブラザース!?
(エロエロと読まないように・・)
しかし、今回もいちばんの興味は二人がどんな曲をどう弾いてくれるか?
優しいお二人なのでねだれば何でもやってくれる。
しかし、それに甘えてはいけないと自重するエンペラであった・・・。
とは言いながらも、杉本さんが出版したばかりのジャズギター教則本の曲目をあらかじめチェック
しておいてあれとこれと、おまけにこれも演奏してもらおうと、しっかりリストを用意してたりして。
マリアージュには早めに着いて、管理人さんにこの日、どんな曲目を予定しているのかお聞きしたら、
「いや、まだ何も決めていないんだよ」といつものご返事。
でも、管理人さんが持ってきた譜面をよく見ると「Momo's Blues」「たまゆら」がある! こ、これは!
二人のデュオは、おもに管理人さんがリードをとるスタイルでやってはいますが、曲目選びは杉本さん
主体で、その日何をやるかに関しては、管理人さんはどうも受け身のような気がしていたんです。
だからギターフリークの私なんかが、二人のギターをたっぷり堪能でき、大喜びしているほどには
もしかして管理人さんはこのユニットにあまり乗り気ではないのでは、という不安もあった。
でも、大事なオリジナルを、それも新曲の「たまゆら」まで譜面を用意しているということは、
管理人さんもこのデュオをようやく一人前(?)と認めたということでは・・・!?
■第1セット
1. モモズ・ブルース
  いきなり噂のオリジナルからスタート! テーマがシンコペーション*の多用で成り立っているため
  さすがの杉本さんも、初見では息もぴったりというわけにはいかないようだ。
  (*シンコペーション: 次の小節のリズムを前倒しにもっていき、せきたてるような緊張感を狙ったアレンジ)
  しかも、『タタッ、タッ、タッ、ターッ!』のキメフレーズの和音がひとつづつ難しく変わる超難曲!
  でも、後半どんどんノリがよくなってゆき、杉本さんが自分の番のアドリブソロをとる頃には、
  まるで以前から何度も一緒にやっていた曲のように聴こえてきました。
2. ヒア・ゼア・アンド・エヴリウェア
  これは私のリクエスト。以前、他のかたがML2で管理人さんにリクエストしてたんだけど、
  無視されて(そんなことはないか。たまたまですね?)可哀想だったので私が代理でお願いしてみました。
  ビートルズのこの佳曲はジョージ・ベンソンもとりあげていますが、途中ちょっとした転調があり
  そこをどう切り返すかが聴き所。いきなりなのに管理人さんはとても初めてやるとは思えない
  華麗なフレーズ展開! 初めてじゃないのかもしれない。過去の豊富なキャリアのなかでやらなかった
  曲はないのではないでしょうか?
3. フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン
  これもリクエストしちゃいました。もしかしてこの曲はプレイヤーにとってやりあきた曲では
  ないのか、こんなポップなナンバーは嫌じゃないのかと、リクエストするのにいつも気後れが
  してしまうのです。でも、大好きなメロディ。8小節目のAm-A7というコードの流れを聴くと
  いつもキュンとしてきます。管理人さんの演奏は宮川組のCDでも聴けるのですが、1コーラス
  ないくらいの短いもの。やっと念願がかないました。
4. たまゆら
  話題の管理人さんの新オリジナル。甘くほろ苦い曲調のスローワルツです。この曲を聴いたのは
  最初がまんだらでのHIKのとき、次が市川りぶるのトリオ、そしてこの日と3回目になりますが、今回が
  いちばん心にすーっと入ってくる感じ。トリオ演奏ではコード楽器が管理人さん一本だけになるけど、
  今回は杉本さんのギターがコードバッキングをつけているので、主旋律にさらに色彩感が感じられる
  ようになっているからでしょうか。
  「でも、この曲はまだアレンジ中だけど何かが足りないと思うんだ・・・。
    そうか、ベースとドラムが足りないのか!」とギャグをとばしていた管理人さんでした。
5. サニー
  私の顔を見たら、管理人さんと杉本さんがこの曲をやろうと言い出しました。
  因縁のナンバーですからね。前回も要所要所で1小節に音符が16個つめこむという荒技が見られましたが、
  私がコピーするときにそこが難しいとこぼしたせいなのか、今回は前回どころの騒ぎじゃない、
  全編弾きまくり! もしかして管理人さん、面白がってむきになって難しくしてませんか?
  これがいわゆるベンソン・ピッキングというものなのか、管理人さんは指弾きではなくピックを
  使用していました。
6. ムーン・リバー
  他の客席からリクエストカードがまわってきての演奏。ヘンリー・マンシーニ作の、これも大好きな曲。
  ボサ・ワルツのお洒落なリズムでいい雰囲気。
■第2セット
1. インスピレーション
  2セット目は管理人さん、杉本さんそれぞれのソロギターから始めようということで、先行は杉本さん。
  この曲はRYOさんがよく知っており、「鬼平犯科帳のエンドテーマで、ジプシーキングの曲だよ」と
  教えてくれました。「別れの朝」をぐっとセンチにしたようなフラメンコっぽいナンバー。
  エンディングのコード弾きの返しのところの空ピックがいかにも杉本さんタッチ。
2. ウィ・アー・オール・アローン
  これも杉本さんのソロ。最近ではパパレのTomiさんの熱唱が印象深かったボズ・スキャッグス・ナンバー。
  う〜ん、ソロギターとしては非の打ち所なく完璧なんだけど、オリジナル通りの展開なのでやや物足りない。
  もっと変奏するなり、アドリブ部分を作るなりのスパイスがあれば・・・。
  すみません、ヤク中ならぬギタ中の勝手なわがままでした。
3. ポルカ・ドッツ・アンド・ムーンビームス
  管理人さんに選手交代しての超強力ナンバー。超絶技巧の嵐が炸裂!
  あまりやってくれないけど、管理人さんのソロナンバーの中では私のいちばんのお気に入りです。
  猛烈なスピードで弾きまくるこの曲ですが、もともとはスローなバラードナンバー。
  「月の光のなかで水玉模様のドレスの女の子に恋をした」という愛らしい歌詞がついた曲です。
  今度、トリオのときにでもスローバージョンでもぜひ聴いてみたいと思っています。
4. オーバー・ザ・レインボウ
  こちらも管理人さんのお得意のソロナンバー。でも、こちらは毎回聴けるので内心他の曲のほうがいいかな?
  と思ったら、エンディング間近でハードなウォーキングベースを差し挟むという意外なアクセントが施され、
  思わず「イェイ!」とノセられてしまった。やっぱり管理人さんのギターはカッコいいな!
  杉本さんの教則本の解説によれば、この曲はジャズ・スタンダードのなかでも難易度が高い曲だそうです。
5. サテン・ドール
  ここから通常のギターデュオに戻っての演奏。さすが大スタンダードのこの曲では二人とも余裕たっぷり。
  アドリブ交換に、4バース交換(4小節ごとにソロを交替しながら弾くのね。盛り上がるんだ、これが)に
  堂々とした、それこそまるでギター教則のサンプルのような模範的な演奏が展開されます。
  ここでとくにカッコいいのが、バッキングにまわったときの低音弦で弾くウォーキングベース。
  単にベースラインだけじゃなく、それにコード弾きもからんでくるのがミソ。ギターデュオ以外の演奏だと
  本物のベースがいるため、こういうギターのバッキングはあまり聴けません。
  このユニットのときのお楽しみポイントですね。
6. キラー・ジョー
  わ〜お!杉本さんの楽譜ノートからこの曲を見つけちゃった。さっそくリクエスト!
  もともとはベニー・ゴルソンの作曲らしいけど、私にとっては想い出のクインシー・ジョーンズの曲。
  アルバム「ウォーキング・イン・スペース」を初めて聴いたときのショックが忘れられません。
  今度「想い出のアルバム」に書こうかな。キラー・ジョーとは、ドラマーフィリー・ジョー・ジョーンズの
  ことらしい。
  この演奏は杉本さんのリードで。でも、久しぶりで杉本さんもこの曲を忘れていたらしく、最初は
  どうも調子が出ない。でも、基本の構成はお得意のブルースなので後半どんどんノってきます。
  管理人さんはアドリブソロのときふざけて「ひょっこりひょうたん島」のテーマをおりまぜてきた。
  そういえばひょうたん島にはマシンガン・ダンディという殺し屋スタイルのキャラクターがいたなぁ。
  そこまで考えてのジョークだったのか!?
7. ワンダフル・トゥナイト
  二人の定番になったクラプトンナンバー。KAZUさんも「いい曲よね〜」との感想をもらしておりました。
  杉本さんがリードをとるこの曲は、シンプルなメロディをむやみに崩さず、我々アマチュアがやったと
  したらこらえきれなくなりそうなスローテンポを、決してあわてず、どっしりとタメをきかせ、心に
  しみ込んできます。
8. 哀愁のヨーロッパ
  このデュオでやるときは、この曲はいつもサンタナ・スタイルの最初からインテンポで始まる演奏だったん
  ですが(フレーズはもちろん違いますよ!)、今回は正式な萩谷バージョン。
  曲の出だしが管理人さんのフリーテンポのソロで始まり、Bメロ(サビ?)から杉本さんがバッキングに
  加わってインテンポの演奏になります。しかも前回までは、杉本さんのソロはラストのCm-Fmの繰り返し
  パターンのところまで登場しなかったのが、テーマ部分からアドリブをとるようになった。
  こんなところからも、LLブラザースが管理人さんのレギュラーユニットに昇格したことが窺えます。
  この演奏を聴くまで、季節柄、「枯葉」をリクエストしたいと思っていたんですが、ムードがダブるので
  我慢しました。聴かせてもらうほうもちゃんと考えているでしょ?
9. アンチェインド・メロディ
  これもリクエストカードがまわってきての演奏。杉本さんが「うひゃ〜っ!」と言っている。
  どうやら一度も演奏したことがない曲のようです。管理人さんもそうみたい。
  却下かな、と思っていたら、なんと始めてしまった! 二人とも顔を見合わせ、歌いながら、曲を思い出し
  ながらそれをすかさずギター演奏に変えて弾いています。大丈夫かなと思っていたんですが、そんな調子
  でやっていながら、結果としての音(演奏)はほぼ問題なし。すごいね!二人とも頭に浮かんだメロディは
  すかさず指に伝わり、演奏できるんだ。 シロウトの私なんか、大好きで耳にこびりついた曲でさえ、
  弾いたことのない曲はお手上げなのに。
10. フォア・オン・シックス
  ウェス・モンゴメリーの曲で、タイトルは左手4本の指で6本の弦を弾く〈Four fingers on Six strings〉
  を略したものとのこと。うねうねとした4ビートのリフに、跳びはねるようなメロディがのっかって、
  そのコントラストがとても面白い曲。ソロ交換のとき客席から大きな拍手が湧きます。
11. ジョージア・オン・マイ・マインド
  この曲も杉本さんの教則本に掲載されていた曲なのでリクエスト。でも考えたらリードは管理人さんがとる
  からアレンジは当然変わってくるんだろうな。
  しかし、ここでの管理人さんのソロは涙ものの絶品! タメと叩き込みのバランスの絶妙さ! 
  我々アマチュアがやるときでも、ギターフレーズはFのワンコードと考えての一本槍でもなんとかさまに
  なりやすい曲なんですが、管理人さんのギターはそんな雑なことはしない。きっちりとコードの流れに
  対応したフレーズで、この曲の持ち味が味わいつくせ、なんとも美味しい仕上がりです。
  もちろん杉本さんのバッキング、ソロとも申し分なし。次回もこの曲、また聴かせてくださいね!
12. ビリーズ・バウンス
  1セット目は50分足らずと短かったんですが、第2セットはこの曲の時点で70分におよび、トータルで80分
  を超えてしまいました。う〜ん、中身の濃いライブだったな。
  ラストになるこの曲はリフが変則的に小節をまたがり、何ともいえずプロっぽい感触のブルースナンバー。
  ジャズのライブに行くと、3バンドに2バンドはクロージングテーマに使ってるんじゃないかと思うほど
  必ず聴ける人気曲です。たいていは急速テンポでMCのバックでやって盛り上げるんですが、二人の演奏は
  ややミディアムテンポにおとして、じっくりと聴かせるブルースナンバーにしています。