| Mr,エンペラのライヴレポート
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Kiyoshi Hagiya SUPER BAND 11月6日(水)STB139 Gt. 萩谷 清 Pf. 倉田 信雄 Bass. 岡沢 章 Drs. 渡嘉敷 裕一 Perc. 木村 誠 Sax. Bob Zung |
| 『今度のスーパーバンドは一年ぶりのSTB139!』。 まだ暑い時期から、清柳会周辺では 期待と興奮が一緒くたになったフィーバーともいえる騒ぎが巻き起こっていました。 ・・・そんなに大変なことなの? スーパーバンドだったら、銀座スウィングでだけど、 3月にも、7月にもやったじゃないの? まあ、その2回ともサックスのボブ・ザングさんは 欠場で、タイロン橋本さんをゲストヴォーカルに招いての変則版SPBということだったのですが。 ここしばらく、どっぷりと萩谷清のギター漬けにになっているとはいえ、この半年少々の にわかファンの悲しさで、皆さんの大騒ぎの意味が私にはよく飲み込めませんでした。 実は、これまで私はあまりライブに出向く機会が多い方じゃなかったんです。 私にとってのライブ会場といえば、武道館、厚生年金ホールに郵便貯金ホール、中野サンプラザ、 新しくて横浜アリーナ。そうじゃなかったらキャパ30人前後(昔はピットインだってそんなものでした) のライブハウスというイメージだった。 最近のブルーノートとかは知りません。 えっ、日本にブルーノートがあるの?って感じでした(笑)。 前回、H・I・K(萩谷清・市原康・加瀬達トリオ)が南青山曼荼羅でやったときに、 「大きな会場だな〜」と感じたものです。でも今回のSTB139はそれを大きく上回り、キャパが 250席以上だという。うん、それはすごいかも。 でも日本にスイートベイジルってあったんだ(笑)。 あとひとつ、私にとって萩谷清はどうしてもトリオ主体のピュア・ジャズ・ギタリストという認識が 強かったのです。 実際、聴けば聴くほど管理人さんのジャズ・ギターは超一流のそのまた上を いくものだと確信しています。 しかし、南青山曼荼羅でのH・I・Kで管理人さんの新曲を聴いた頃から、この人はジャズ一辺倒で おさまる人ではなく、もっと大きなキャパを持ったギタリスト(いや、音楽家)なのかもしれない という思いが強くなってきたのです。 清柳会の皆さんにしてみれば、私とは逆で、スーパーバンドでオリジナルを演奏する萩谷清が当たり前で、 スタンダードジャズを弾く管理人さんのほうが新しい顔という認識なのかもしれませんね。 そんなこんなの感慨を胸にこの日、六本木のSTBに駆けつけたわけです。 中に入ると、RYOさんはじめ、清柳会のおもだったメンバーはすでに勢揃い。 KAZUさんもお友達をたくさん引き連れてきていました。さすが追っかけ1号! 客席から見ると、大きなステージはちゃんと(?)一段高くなっており、コンサートという雰囲気 も充分。 照明機材も今まで行ったスウィングや曼荼羅にくらべて相当充実しているようです。 さあ、初めて聴くボブさん(敬称をつけると何か変・・)のサックスはどうだろうか? そういえば管理人さんは前週からの風邪がよくなっていないらしいけど大丈夫なんだろうか? 8時ちょうどにスーパーバンドがステージに登場。 いよいよ第一セットの演奏が始まりました。 初っ端、音が出た途端、そのサウンドのよさにちょっとびっくり。 言っちゃまずいかもしれないけど、G.SW◯Gとは音響的にダンチ、M◯◯D◯◯Aで少し感じた 神経質さもなく、かなりいい音でした。 ステージ上で照明に照らされた管理人さんは、いつもの気さくな管理人さんとは少し違って見え、 さすがに、錚々たるメンバーを従えた一流ミュージシャンのオーラがびんびん出まくっており、 雲の上の人になってしまったような・・・。 もちろん親衛隊としては誇らしいことなのですが。 風邪のためか照明の加減か、顔色がかなり白っぽく見えます。でも演奏を聴くと調子の悪い ところはまったく感じられないのでひと安心。 ■第1セット 1. Feel It オープニングは7月のH・I・Kのときに初披露された新曲から。 曼荼羅のときも1曲目にもってきた曲で、これからの萩谷清の方向性を提示したフラッグシップ ともいえるナンバーです。 ファンキーなリフに重いリズムが絡み、一聴するとポップなR&Bタイプを狙った曲のようにも 聴こえますが、この、スーパーバンドのリズム隊の重さ、腰の据わり方はただごとじゃない。 まるで重戦車の行進のよう。 ボブ(呼び捨てでごめん)のアルトサックスと管理人さんのギター のユニゾンでメロディが進行していきますが、前回、トリオのときはテーマメロディ、フィル (テーマに対する合いの手みたいなフレーズ)、リズムのキザミまで、全部をギターが受け持って いたのとくらべ、管理人さんのギターがぐっと自由になった感じ。 細かく分断されがちだったフレーズの息継ぎがゆったりとれるようになり、エンドレスに続いていく かのような妖しい曲のムードをスリリングなギターがじわじわと引っ張り、盛り上げていきます。 前回、ワウ・ペダルを使っていた管理人さんは今回は全編にわたってノー・エフェクター。 それでもL5は濡れたような素晴らしい音色です。管理人さん、ボブ、そして倉田さんのピアノへと ソロが引き継がれ、リズム隊の短いブリッジをはさみテーマに戻ります。 2. たまゆら この曲も1曲目に続き新曲です。 くどいようですが、ここでも信頼のメンバーをバックに管理人さん のギターは水を得た魚のよう(例えが陳腐でどうにもイカさないです・・)。 とにかく絶品! わたしゃ、泣けてきましたよ。 スローな8分の6拍子のたゆたうようなリズムに身をまかせながら、 時折、管理人さんの見せるビブラートにハートをわし掴みされては、はらほろと涙し、極上体験でした。 しかしこんなにいい曲だったとは・・・。初回の演奏の時はメロディがよく見えてこなかったんだよね。 仕上げの倉田さんのピアノソロも最高。じらすように、時に切り込むように・・・。 C.アンさんのおっしゃった「彼の紺のシャツ姿にぴったりの濃紺の洗練された大人の響き」は 本当に的を射ていますね。 3. Metro Blues 管理人さんの「ここで、倉田くんが地下鉄で通っていたときに作ったという、メトロ・ブルースを・・」 というMCが入ります。以前聴いた「多分ホテルで作ったんでしょう、Don't Disturb」を思い出す 解説ですね(笑)。 管理人さん、連想がシンプルすぎ。 岡沢さん、渡嘉敷さん、キムチさんたちの手拍子をバックに、倉田さんのコードソロから始まる 楽しい曲です。曲調はスタッフの「Subway」じゃなく、「Want Some of This」に似た感じかな? 後半、もちろん倉田さんのソロ、管理人さん、そしてボブのアグレッシブでジャジーなソロが たっぷりと堪能できます。 4. Let It Be おっ、懐かしいイントロと思ったら、ういさんのバンド、One Night Stand の演奏で聴いていた アレンジでした。もちろんアレンジの本家はスーパーバンド。ういさんたちがコピーさせてもらって いるのですが、私はご本家の演奏で聴くのはこれが初めて。 オリジナルのビートルズ以外ではあまり聴けない曲で、とくにインストゥルメンタルではCTI時代の ヒューバート・ロウズ(ギターがG.ベンソン!)くらいしか思い浮かばないんですが、なかなか アレンジが変えにくい曲なんでしょうね。 ロウズのはオリジナル通りのアレンジだったので、まるで歌のない歌謡曲でした。 スーパーバンドは原曲のゴスペル風味にこだわらず、がらりとイメージを一新。タイトに、ポップに 仕上げています。 5. Back To The Place I Love ボブがお休みだった前2回の演奏では、この曲は管理人さんのギターが大きくフィーチャーされて いましたが、今回はボブのサックスが主体で展開されます。 そしてやはり後半は前回同様、倉田さんのピアノが大暴れ! この曲が第一部のクロージング・ナンバーとなりましたが、ここまで聴いて、この日のスーパーバンドの 演奏のクォリティの高さに舌を巻いてしまいました。 そのタイトさ、ノリのよさに加え、歌心がほとばしっていながら、無意味な音、無駄な音はまったく といっていいほどなく、そのままレコードにしてもまったく問題ない内容だと感じました。 過去、このスーパーバンドを銀座SWINGで2回聴いていたのですが、音響的にも、演奏的にも 今回のSTBのほうが段違いに素晴らしかった。もちろん前回もぶっとんだし、感激するには充分な 内容だったのですが、ここで聴く演奏はさらにそれの上をいくものでした。 なにより、メンバー自身が演奏を心底楽しんでいるのが、はっきり伝わってくるのです。 いい音が、いい会場が、本人達をのせてくれるんでしょうね。 ■第2セット 1. 見上げてごらん夜の星を 二部のスタートは管理人さんのギターソロからスタート。 ここでこの日、11月6日が管理人さんと 愛妻りゅりゅうさんの20回目の結婚記念日だということが管理人さんのコメントでわかりました。 「ここまで長く続いたのも僕の人格で・・」と、いかにも管理人さんらしいジョークを交えながらも 「こうやってギターを弾いてこられたのも、僕のいちばんの理解者である彼女のおかげ」と結び、 りゅりゅうさんへの感謝をこめ、ソロギターが演奏されます。 (STBに来ていただいた歌人御夫妻が和歌を詠みました。---BBSの管理人さんの書き込みより転載) 『この指を見つめつづけし人のゐて二十年目の第二部はあく』 『 玻璃の胴と瑠璃の弦もてその人は今宵も妻恋ふるうたをうたへり』 2. Montgomery Land ここからバンドの演奏に戻り、現在の萩谷清のテーマ曲でもあるこの「モンゴメリー・ランド」が 始まります。 足を踏み鳴らしながらからだ全体を使ってベースを弾く岡沢さん、そしてそのベースに がっしりとシンクロする渡嘉敷さんの腰の据わったドラム、そこにキムチさんのパーカッションが カラフルにからみ、倉田さんの緊張感あふれるピアノのコードフィルが加わると、管理人さんが オクターブ奏法(*)を使ったテーマメロディをかぶせていきます。 ここでの管理人さんのギターが非常に脂ののった感触(また訳の分かんない表現ですみません。 パサついていないというか、非常にジューシーなタッチ・・)で音が鳴りきっているという感じ。 キメの箇所で思わぬトリル(と言っていいのか、オクターブで超高速のスライド・アップダウン) を入れたり、技もあちこちにちりばめられていて素晴らしい。 テーマ弾きが終わる箇所で、管理人さんのギターがブワーッとオーバードライブした気がして びっくりしていたら、ボブのサックスがギターにかぶさってきたんだ! そのまま管理人さんが凄まじいアドリブソロに突入、そのぶっ飛び加減はまるで先日、関内ZOOTYで 聴いたばかりの「So What?」のソロを思わせるもの、といったら伝わるでしょうか? 単音高速ピック弾き(でしたよね?)、オクターブ弾きを織り交ぜ、後半、E A D A C A D A というシーケンスフレーズ(誰も分からないでしょうね? 管理人さん自身も分からないだろう・・) をオクターブ弾きでチャッ、トゥルルルルル、チャッ、トゥルルルルルとやられたときには もう昇天・・・・。(チャッが8分音符、トゥルルルルルが6連32分音符と考えてください!) 印象的だったのが、このソロの間、他のメンバーの人達がバッキングしながら、管理人さんの演奏を まるで観客のひとりのような感じで聴き入っていたこと。 時に興味深げに、時に嬉しそうに、そしてリーダーの快演を誇るように。 管理人さんのソロに続き、ボブのサックスソロもふんだんに繰り広げられます。 かなり、ごりごりプッシュするサックスだけど、意外に品もあり、うるさくなく、とても心地よい。 グローバー・ワシントンがこんな感じだったかな?それよりフレーズの豊富なところは、スタンリー・ タレンタイン?(アルトもテナーも一緒くたになってるな) サックスに続いてういさんお待ちかねの倉田さん。ヒートし過ぎた熱をいったん冷ますように 非常に抑えたタッチでソロを始め、徐々にその音数を重ねていきます。こうすることで凄みが倍加 するんですね。平熱(?)に戻したところでテーマに戻りエンディングとなります。 エンペラ辞典 (*)オクターブ奏法 ウェス・モンゴメリーが開発したとされるこのギター奏法は、6本の弦のうち、1弦と3弦、2弦と4弦、 3弦と5弦というように、間に不要弦を挟む離れた弦を使って1オクターブ違う音程を同時に鳴らす 奏法で、1本の弦を鳴らしただけでは決して得られないインパクトのある音色を出すことが可能です。 (1弦と4弦、2弦と5弦というように弦2本とばしのフォームもあります) 右手はコードを弾くように、1〜6弦を同時にピッキングするため、残る4本の不要弦を鳴らさない ようにしなければならず、左指側の高度なミュートテクニックが要求されます。 また、音階を弾くためには、まるでコードチェンジをするような要領で、瞬時に次の音程のフレット まで左指を移動させる必要があるため、テヌート(音が途切れないよう)に演奏するのが非常に 難しい奏法です。 3. Thread ボブ・ザングさん作のこの曲のタイトル、「スレッド/Thread」とは日本語に直すとどういう意味に なるんでしょうか? 私はある業種(機械メーカー)とのお付き合いからこの単語を知っていたため、 ああThread かと納得したんですが、よく考えてみると『ネジ穴』『糸』『細いところを通すこと』 『寿命』なんて意味もあるけど? どれもタイトルにしてはちょっと変わっていますよね。 ボブの涼しげなフルートを聴いていたら、「Sled/そり」なのかもしれないと思ったんだけど、 そうではないということ・・・。 誰かボブに会うひとがいたら聞いておいてください。 このフルートは Return to Forever のジョー・ファレルも思い出してしまいますね。 「スーパーバンドのサンバビートの熱く、且つ洗練されたリズムと哀愁も漂わせる曲がよかった!」 と言っていたダンディ氏のお気に入りはこの曲でしょうか? 曲調にぴったりあった管理人さんのクールなソロも聴きもの。キメの直前でいったん弾くのをやめ、 他の楽器がブレイクする瞬間にギターで切り込んでいくところがすごくスリリングです。 また、それにつづく倉田さんのピアノが圧巻! 左手だけで始まったソロが徐々にヒートアップ していき、最終的には弦も切れよとばかりに盛り上げていきます。 4. Brazilian Stomp 管理人さんの「最後の曲、ピアノからいきます!」というMCを聞いた瞬間、これしかないと すぐにピンときたこの曲、「ブラジリアン・ストンプ」です。 C.アンさんもこの曲のことを「スーパーバンドのテーマ」と呼んでいるくらい、SPBとは切り離せない ナンバーですね。 ベンチャーズでいうならば「キャラバン」といったところか? (どうも今回は例えが微妙に不適切な気がする・・・) この曲をよく知らない方のためにちょっと説明しますと、ジョージ・ベンソンとアール・クルーが 1987年にジョイントして制作したアルバム「COLLABORATION」で吹き込んだ曲です。 作曲はたしかアール・クルーのほうでしたね? 興味のある方は聴いてみるのもいいかと思いますが、ハッキリ言ってスーパーバンドのほうが 全然面白いですよ。 しかし私もSPB関係にすっかり詳しくなったもんだ。 3月に初遭遇したときは、レパートリーも何も皆目分からなかったんですから。 この日の演奏もさすが代表レパートリーだけあり、すごいの一言! 「キャラバン」ですから(笑)、当然最後にドラムとパーカッションのソロがついており。 壮絶なバトルが繰り広げられます。二人以外のメンバーはいかにも楽しそうにバトルを観戦しています。 5. So Natural アンコールはこれまた代表曲、「So Natural」。私にとってはすっかりスタンダードになったこの曲ですが、 聴くたびに新鮮な感動を覚えます。管理人さんのギターも毎回、テーマも微妙に変奏し、アドリブ フレーズも違った切り口を次々に見せてくれます。この日もギターが歌う、歌う! 本当にかゆいところに手が届く感じです。 (またまた拙い例え!! 失礼しました!) END |