Mr,エンペラのライヴレポート

萩谷 清 Duo Live at The Strange Fruit
大磯すとれんじふるうつ / 2003年1月18日(土)
Gt::萩谷 清  Bass::池田聡
今回は10カ月ぶりの大磯すとれんじふるうつ!
しかもベースとのデュオ! これも楽しみでした!
どんな曲が聴けるんでしょうか?
「アローン・トゥゲザー」「朝日の如くさわやかに」
「セント・トーマス」「枯葉」「ジャンゴ」・・・。
いけない、どうもジム・ホールとロン・カーターのデュオ曲ばかり
思い浮かんでしまいます。
「モリタート」や、それに季節柄、「マイ・ファニー・バレンタイン」
あたりもぜひ聴きたいですね!
それともぐっとお正月っぽく、「世界は日の出を待っている」(!)、
たまにはスウィンギーに「明るい表通りで」・・・・。
とここまでML2に書き込んでいたんだから、何か当たるでしょう!
(ベースの池田さんとの方向性をはずしてます?)
それにしても、ギターデュオ以上に、
たっぷり管理人さんの音が堪能できるはず、楽しみだな〜。
(すとれんじふるうつが禁煙じゃなきゃ、さらに最高なんですが・・・)
まじめな話、ジャズの形態としてはギターデュオより、ベースとのコンビネーションの方が
より正統派だと思います。音色のバランスからいって、デュオならピアノとよりも
ベースのほうが馴染むはずです。
まあ、この場合ギターがメロディ楽器とコード楽器の両方とも担わなくてはならないという
制約がでてきますが、それはギタートリオに近いものでしょう。
今年は管理人さんにピアノトリオとのジョイントをはじめ、またいろいろな
スタイルの演奏を聴かせてもらいたいと考えていましたので、
まずは年の始めのトライアルとして、このデュオがとても楽しみだったんです。
■第1セット
1. There Will Never Be Another You
  あらっ、珍しい! 管理人さんの演奏では初聴きのナンバー。「チェット・ベイカー・スィングス」で
  聴いて以来、私の大好きな曲。 嬉しいなー!
  「あなたなしでは」という情熱的なタイトルに反して、淡い初恋を思わせるようなセンチメントを持つ、
  可憐なメロディが魅力の佳曲です。 私もVの音楽仲間とよく演奏していますが、やさしげなメロディ
  のわりにコード割が忙しく、ついつい運動会のような慌てた演奏になりがち。 でも、そこは管理人さん、
  曲の持ち味を活かしきった軽やかな演奏(較べるなって!)。 アドリブに移ってからのギターはまさに
  萩谷節と呼べる、流れるようなプレイです。
2. James
  これまた珍しい、パット・メセニーのヒット曲! また難しそうな曲を、これまた難しい弾き方で・・。
  テーマ部分はまるでコードソロのようなアレンジになっています。 指使いを見ているとクラシック
  ギタリストのようなフォーム。「これは初めて弾いた曲ですが、すごく難しいな・・」と言いながらも、
  もうこの曲は大丈夫!という自信も窺わせる管理人さんでした。
3. Someday My Prince Will Come
  これは、もう管理人さんの定番といえるナンバー。 しかしこの曲もボイシングや弾き方を、みずから
  どんどん難しくもっていっているみたいですね! いつもはソロギターで披露することの多いこの曲
  ですが、今回は池田さんのベースのバッキングを得て、ハーモニー的に自由になったぶん、アドリブ部分
  の演奏が凄いことになっています!
  気が付くと管理人さんはソロを弾きながら、ギターと一緒にスキャットで同じメロデイを歌っています。
  よく、ピアニストがやってるあれ。 他のユニットのときはわからなかったけど、管理人さんはいつも
  こうやって演奏していたのか? なるほど、これがあの歌心あふれるギターの秘訣だったのか!
  ベースソロになると、池田さんもやはり渾身のソロワークを聴かせてくれます。 音符に体ごとねじこむ
  ような力の入ったもの。 
4. Here There and Everywhere
  「じゃ、ビートルズをやりましょう」と、最近では杉本篤彦さんとのギターデュオでの定番になった
  この曲を。まず、ソロギターで長めのイントロをとり、インテンポに入ってからベースとのデュオと
  なります。 なるほど、この曲のリリカルさはこの編成のほうがぴったりかもしれません。
  流れるようなコード進行、転調の妙が聴いている耳にすーっと入り込んできます。 しかし、これは
  コードを巧みに絡ませながら、メロディやソロを組み上げる技量あっての結果。はー、すごい・・。
5. St. Thomas
  私が前日からしつこく、「ギター&ベースのデュオなんだから、ジム・ホール/ロン・カーターの
  ナンバーを聴かせて」とリクエストしていたので・・。
  うん、これはいい! トロピカルでリズミックなこの曲が、どういうボイシングが入り、どんなタイミ
  ングでギターが鳴れば完成するのか、その理想的なお手本が展開されます。
  ジム・ホールの演奏では、やや抽象的な印象画のようになって見えにくかった部分が鮮明になっている。
  過去、管理人さんは杉本さんとのデュオ、京都Vin-Centでもこの曲を聴かせてくれましたが、ややサポート
  側にまわっていたため、もうちょっとちゃんと聴きたかったんです。 念願がかなってラッキー!
6. Heart String
  うえ〜っ、かっこいい! ドスの利いたブルージーなリフに始まり、ニヒルな、それでいてセンチメンタル
  なメロディが耳をとらえて離しません。 この曲なんだったっけなー? うーん思い出せない、気持ち
  悪い・・・と思ったら、ミルト・ジャクソンの「ハート・ストリング」。 なんだ、アルバム『PLENTY,
  PRENTY SOUL』(アレンジ:クインシー・ジョーンズ)で私、持っていました。 同じアルバムに入って
  いるゴスペル、「サーモネット」が大好きで、今度管理人さんにやってもらいたいと思っていたんです。
  いけない、脱線してしまいました。
  とにかくこの「ハート・ストリング」での管理人さんのギターがすばらしい! 一音一音に魂が入って
  もうこちらは金縛り状態! いいなぁ、こんなギターが弾けたらもう死んでもいいな。 いや、まだ
  死ぬのはちょっと困るから、早死にくらいにしとこうか。
7. Beautiful Love
  これまた、最近の管理人さんの定番、「ビューティフル・ラブ」。 はー、困りましたよ。何でかって?
  この曲は、今度の楽器持ち込み可新年会で、私エンペラがひそかに管理人さんとのギターデュエットを
  狙っている曲。 一生懸命練習して、畏れ多くも管理人さんにバックをつけていただいてと・・・。
  でもね、こんないいギターを聴かせられると、「この人の前では同じ曲はとても弾けない・・」という
  気持ちにさせられます。 どうしてこの人はこんなギターを弾けるんでしょう? 絶妙なメロディの
  再構築、場面場面で即興的に施される理想的なリハーモナイズ・・・。 
  その音楽的情報量は、私などシロウトが発信してるのが幼稚園児の「アーアー」という駄々だとしたら、
  管理人さんのそれは、狙ったら絶対外さない色事師の口説き文句・・対抗するには可愛げしかないぞ!?
  (だから、どーして対抗するんだっつーの!)
8. Stella by Starlight
  第1セットのラストは、これも管理人さんお気に入りのナンバー。
  ここまで聴いてきて、ベースの池田さんと管理人さんの相性を、私なりにちょっと総括・・・・。
  池田さんはベースソロを一聴してすぐわかるように、歌心あふれたメロディメーカーで、すばらしい
  ベースプレイヤーですが、ちょっとだけ4ビートのグルーブが管理人さんと違うような気がする。
  すごくエッジがきいたベースで、その点、管理人さんと同じテイスト(決してのんべんだらりとはなら
  ない・・)があるんですが、噛み合い方が微妙に食い違うような印象をうけます。 
  ギターをまるく抱きかかえてくれないで、個別に主張するような・・・。
  あと、ピッチ(音程)が少々気になりました。 もしかしたらベーシストの行き方としてピッチをジャ
  ストに決めず、微妙にずらしてテンションを高めるという効果の狙いがあるのかもしれません。
  ちょうどギタリストがブルーノート(クォータートーン)を使うように。 ですが、私どうもこのへんの
  ところがよく判りません。 ロン・カーターのベースを聴いていて、「これ、音痴じゃん?」といつも
  思ってしまうのです・・・。ポール・チェンバースの「イエスタデイズ」のアルコ(弓)弾きも、
  いつも耐えられずにレコードの針を上げてしまう・・。「あれがいいんだ」という人はいるんですが。
  とまあ、ちょっと内緒のレベルのお話を書いてまった! 修正削除しようかしら?
  
■第2セット
1. Momo's Blues
  出ました! 管理人さんのオリジナルチューンの中で、「ソー・ナチュラル」に並んでベスト2に輝く
  大傑作!(当社独善リサーチによる) この曲はもともとトリオスタイルと、バンドスタイルの2つの
  バージョンがあるのですが、両者では曲構成が微妙に違っています。今回はもちろんトリオスタイル
  からの演奏になっていますが、デュオにもすごく合っている曲ですね。管理人さんのコード弾きをメロ
  ディにうまく絡めながらの演奏スタイルも、基本的にはトリオのときのまま。アドリブソロがトリオ
  よりもさらにどっしりとして感じるのは、それだけ管理人さんがリズムの主導権をとりやすいから?
2. There Is No Greater Love
  いいですね、このタイプの曲が好きです。 何と言ったらいいのか、小唄?佳曲? さりげない軽やか
  なメロディを持った曲。 アメリカというよりヨーロッパ、小粋なパリの香りがする感じ。
  「ストンピング・アット・ザ・サヴォイ」あたりにもこんな印象を抱いてしまいます。両方ともバリバリ
  のアメリカ製かもしれませんが・・・。あっ、パリといってもシャンソンじゃなくて、ジャック・タチ
  監督の映画「ぼくの叔父さん」シリーズのようなエスプリの利いた感じです。
3. Old Folks
  これも管理人さんの得意曲。この曲はまたぐっと、アメリカン・ノスタルジックという感じの曲ですが
  こういう曲もたまらない。 管理人さんの演奏は、ニューヨークの薄暗いバーの片隅でひとり、男が
  苦い想い出を噛みしめる・・・そんな光景にぴったりのムードを醸し出しています。 うっ、キザか?
4. Body and Soul
  おっ、これまた前曲の続編のような選曲。今度は池田さんのベースソロが先攻して、管理人さんは
  バッキングにまわります。 充分温まってきた感じの池田さん、ソロが冴えています。
  間奏のようなかたちで、短いソロを管理人さんがはさみ、またベースのソロに戻りエンディングとなり
  ます。
5. Wave
  これも管理人さんお得意のナンバー。 昨年の横浜ファーストでのHIK、京都Vin-Cent、杉本篤彦
  さんとのデュオで聴いていた曲です。「自称・萩谷清の弟子」を称するエンペラとしては、もちろん
  管理人さんの演奏をスコアに起こし、練習済みの曲なのですが、この大磯の演奏はいい!
  いっぺんおさらいしてみた曲というのは、構成から、細かい部分までよく頭にはいっているため、
  ちょっとした違いでもちゃんと聴き分けられるようになっているんです。
  私がコピーしたのは杉本さんとのギターデュオなんですが、今回のベースとのデュオは管理人さんの
  ギターがカバーしなくてはいけない部分が多い分、じつに有効な技、メロディの歌わせ方、隙間の
  活かし方、埋め方がものすごくよくできています。これをさっそくコピーしたい!と思ったのですが、
  私がコピー済みのバージョンはDキー、今度のはCキー・・・。あのー、こういうのほんとに困るん
  ですけど。 指遣いがごっちゃになって間違えてしまう。
6. Sunny
  リクエストタイムになり、「何か8ビートの曲を」ということで、すみません、またリクエストして
  しまいました。シンプルな曲にも関わらずバッキングの楽器が少ないため、そうそういつものように
  弾きまくれないだろうという、ちょっと意地悪な考えと、その際コードトーンの処理はどんなふうに
  やってくれるんだろうという学術的(?)興味半々のリクエストでした。
  そうしたら、管理人さんは、なるほどワンコーラス目はコードの絡め弾きを披露してくれたんですが、
  中盤から相も変わらぬ殺人的な速弾き! しかしコードスケールが見事に駆使されているため、
  和音が鳴っていないにも関わらず、なんとコードが聴こえてくる! いや、参りました!
7. Danny Boy
  これは管理人さんのソロギターで。池田さんに「ちょっと休んでて・・」と言って。
  でも、池田さんはベースの場所から離れず、一生懸命に聴いていました。
8. Moritat
  この曲も私がリクエストしていたから? ありがたいことでございます。 言っては申し訳ないけど
  昨年暮れのYTYでやってもらったときは、ギター二本の絡みがうまくいかず、なんだか中途半端な
  出来でしたので・・・。今回は曲の持ち味がぐっとはっきり出てきていい感じ。
9. Black Orpheu
  前曲のエンディングがそのままイントロとなるかっこいい構成で始まるこの曲は?と思う間もなく
  “タタ、タタータタ”という特徴的なあの本チャンイントロが。 テーマに入り、じつにしっとりした
  すばらしい演奏が繰り広げられます。あれ? Aコーラスが終わって、Bに写る前のE7の部分の演奏が、
  私が前回死にものぐるいでコピーしたフレーズより、ぜんぜん簡単になってる。でも、すごく自然な
  いいフレーズだ。なるほど、こうやって全体の演奏の肌触りを作り上げていくんですね?
  そしてこうしてライブにきて参考になるのが、フレーズとフレーズのつなぎの聴こえるか聴こえないか
  というくらいの、ほぼ休符に近い箇所で、じつに丁寧にコード弾きを重ね、演奏のグレードを引き上げて
  いること。 管理人さんの指は見ていると、あきれるくらいものすごい働き者です!
  なおかつその演奏はしっとりと・・・。 私もこんなギターが弾けるようになりたい、早死にしても・・。
10. Satin Doll
  「最後はスタンダードで・・」とお馴染みのこの曲。
11. My Funny Valentine
  そうはいくかと、アンコールでこの曲をリクエスト。すみません、最後の最後まで。
  でも、バレンタイン・デーももうすぐそこまで来ているし・・。
  

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