Mr,エンペラのライヴレポート

お座敷JAZZ
浅草・酒処「司」/ 2003年10月2日(木)
Gt:萩谷 清 Bass:鳥越 啓介

木曜の浅草「司」は日本酒に豪華かき揚げがことのほか美味でした。
あまりに居心地がよく、そのままお泊まりしたい欲求にかられました
が、残念ながら翌日も仕事があったためそれは断念。

しかし、お座敷JAZZというのはなかなか風情があって面白いもの
です。いつも立って演奏するのが常の管理人さんも、この日は低めの
籐の椅子に腰掛けてリラックスしてプレイしていました。
なんなら、あぐらをかいてギターを弾くのもありという雰囲気でした
が、ベースの鳥越さんは座るわけにはいきませんものね。


さて、リラックスしてとはいっても、ギターとベースとのデュオは演
奏スタイルとしてはとてもデリケートなもので、ソロギターについで
難易度の高いものだと理解できます。
ドラムレスのため、ベーシストはいつも以上にリズム奏者の役割に専
念しなくてはならず、ギターはメロディ、ハーモニー、それにもちろ
んリズム展開にも細心の注意をおかなければならない。
この二人ならそんなことはあるはずもありませんが、演奏中不用意に
間をあけたりしたら、瞬間何も音が鳴っていないなんてことがおこる
可能性があるんですものね。
でも聴かせてもらうほうとしては、演奏者の持ち味、技をいつも以上
に堪能することができてとても美味しい演奏形式だといえます。

■第1セット
1. 枯葉
  オープニングはこの季節の定番、「枯葉」から。 まず、管理人
  さんのフリースタイルのインプロビゼーションソロからスタート
  します。そこに鳥越さんのアルコ弾きのベースがからんで、哀愁
  をおびた曲調をさらにドラマチックに盛り上げてゆきます。
  (アルコとは弓を使ってボウイングする奏法で、
      ベースがまるでチェロになってしまう!)
  インテンポのテーマに入ってからは、ベースが通常の指弾きでの
  4ビートに切り替わり、管理人さんのテーマメロ、アドリブをサ
  ポート。ときに指板をパーカッシブに叩いてはさらに演奏をプッ
  シュしていきます。
2. アイ・リメンバー・ユー
  一曲目から間髪を入れずにつづけられたこの曲は6月の大磯で初
  聴きしたナンバー。こうやって「いつもの曲」を少しづつ入れ替
  えていってるんですね? ちがう?私が聴いてないだけで前から
  やっていた? そういえば、池田聡さんのベースデュオで初披露
  された「ハートストリングス」は今回聴けなかったんですが、管
  理人さんの定番にはならないのかな? あまりにキャッチーすぎ
  て演奏者にとっては飽きやすい曲なのでしょうか?
3. 黒いオルフェ
  「ちょっとボサでもやってみようか?何がいい?」とのことで、
  私がリクエストしました。
4. セント・トーマス
  これも調子にのってリクエスト。やっぱりベースとデュオだった
  らジム・ホールとロン・カーターのデュオライブが 連想され、そ
  こからのナンバーがどうしても多くなります。
  「そうだねジム・ホールやってるもんね。どんな風だったっけ?」
  と管理人さんが鳥越さんに声をかけると、「知りません!」
  そうか、若い人は知らないよね? でも演奏するとこの曲は萩谷
  デュオのほうがよかったかな?ロン・カーターのベースってふに
  ゃふにゃしてるもんね。
5. ホワット・ア・ワンダフル・ワールド
  「リクエストしていいんですか?」と珍しくMOさんから。
  いつかだれかが歌ってたな、と思い出したら、某TEZさんがカラ
  オケで披露していましたね?
6. 星影のステラ
  この日の管理人さんのL5の音色は、程良いボリューム設定もあ
  って、すごくアコースティックないい音がしていました。とくに
  この曲での指弾きのアップピッキングでダウン時よりもわずかに
  音がシャープに(鋭く)なるニュアンスとか、繊細なタッチが楽
  しめました。またコードカッティングにまわったときの、さらに
  音量を絞ってほとんどアンプを通さない生音に近い音色も最高。
  ジャズギターのコード弾きの醍醐味ですね。

■第2セット
このセットが始まりかけたとき、店内でまだBGMが流れており、管理
人さんがそれに合わせてギターを弾き始めました。 お店では慌てて
レコードを止めたのですが、管理人さんと鳥越さんはそのままフルコ
ーラスを披露してくれました。
その曲は・・・「トゥ・ラブ・アゲイン/愛情物語」(ショパン・ノ
クターン)でしたっけ? リストの「愛の夢」でしたっけ? ごっち
ゃになってるけど、クラシックのピアノ曲です。
鳥越さんはまた立派なアルコ弾きをしていて、思わぬクラシックの室
内楽を楽しませてもらいました。

1. Momo's Blues
  さて、ライブの本番はこの曲から再スタート。説明不要の萩谷オ
  リジナルですね。本番前に「次のセットは萩谷オリジナルを一曲
  と、ブルースも一曲お願いします」とリクエストしていたんです
  が、その二曲分を兼ねる選曲に出たか?
2. 朝日の如くさわやかに
  すみません、第二セットは管理人さんにメモを渡して、ほとんど
  私のリクエストでやってもらう企みをしていたんです。
  で、大好きなこの曲。この曲もジム・ホールとロン・カーターの
  デュオ曲(以下JR曲といいましょう・・)
3. So Natural
  ちゃんとやってくれました、萩谷オリジナル。しかし見ていると、
  SPBの時とは、同じ曲でもまったく違う弾き方、フレージングで
  す。主旋律を弾いた直後にすかさず挟み込むカウンターメロディ、
  コードプレイのすばらしいこと!適切なこと! この曲だけでは
  ないのですが、同じ曲を違うユニットでやるとき、まるで音量を
  変えるだけのごとく涼しい顔をして、空恐ろしい変奏をこなす管
  理人さん。化け物ですな! なお、この曲をはじめ、この夜の演
  奏は管理人さんのギターは、すべてピック無しの指弾きでした。
4. サニー
  へへへ・・。この曲もリクエストしましたですよ。しかもスロー
  でという縛りつき。鳥越さんにコードを提示しつつ、イントロを
  色っぽく流し、テーマに入るとき、「(このまま)スローだって
  さ」と管理人さんが申し送りをしています。 鳥越さんのベース
  はとりあえずハイテンポの時と同じようにシンプルなキザミに終
  始していますがリズムはためてどっしりと。 管理人さんのギタ
  ーがすごい!私の目論見通り、シンプルなメロディをめくるめく
  フェイクで華麗にデコレートしてくれています。「しょうがない
  だろ、こんな簡単な曲をスローでやるにはこうでもしなきゃ」と
  いうところでしょう。 と、ベースソロでなんと鳥越さんが必殺
  アルコを繰り出してきた!すごいすごい、なるほどそんな手があ
  ったとは。かっこいい!こうしてこの曲の歴史的な名演がここに
  誕生したのでした。
5. オール・ブルース
  おお、ちゃんとブルースもやってくれた。しかしこの演奏を聴く
  につけ鳥越さんと萩谷師匠との相性は抜群ですね。加瀬さんの出
  番はもう不要ですね(しーっ、しーっ!)?
6. アローン・トゥゲザー
  これもJR曲です。この曲か、「ビューティフル・ラブ」のよう
  なマイナー調をとのリクエストでした。「ビューティフル・ラブ」
  はかなりな頻度で演奏されているので、こちらのチョイスとなっ
  たんでしょうか?
7. ブルー・ボサ
  「もうリクエストは全部やったっけ?」と私のほうを睨みながら。
  客席の方を見ると、ここのお店『司』の若ご主人も常連さん(お
  友達?)と一緒に今日のライブにすっかり感激した様子で座って
  います。 管理人さんは、「最後に何かリクエストありますか?
  ブルーボサをやりましょうか?」と若ご主人に声をかけながら、
  ラストのこの演奏となりました。
  そうだ、ここで『司』のご主人のことをご紹介します。ちゃんと
  は聞いていませんので不正確かもしれないんですが、この日見た
  ところ、『司』はこの若主人さんとお母さんの二人(もしくは奥
  に板前さん?)でやっているお店のようでした。このご主人がす
  ごく感じがよい人で、演奏中に料理やお酒を運んでくれるときは
  一生懸命音に気をつけてくれてるようで、テーブルに置くのもそ
  うっとやってくれるんです。手が空いているときは入り口のふす
  まの陰で管理人さんの演奏を熱心に聴き入っているようでした。
  きっと音楽が大好きなんですね。 でも、お代わりや追加が欲し
  いと思ったら、すぐ気付いてくれて、あっという間にオーダーが
  通って、あっという間に席に届きます。その間、音楽を邪魔しな
  いように終始無言。でも接客態度はあったかい。すばらしい。
  気がつくと私はお酒を5合も飲んでしまっていました。
  また、行ってみようっと。