Mr,エンペラのライヴレポート

萩谷 清 Trio Live at The Strange Fruit
大磯すとれんじふるうつ / 2003年10月18日(土)
Gt:萩谷 清 Bass:天笠克己 Drs:大井川俊英


このHPのライヴ情報ページで10月のスケジュールを見たとき、
SPBの公開レコーディングライヴよりびっくりしたのがこの大磯でした。
「なんですとぉ〜! 萩谷清トリオのドラムスがDr.ダンディぃ〜!?」
とひっくり返りそうになりました。

あっ、話が見えていない人がいるかもしれない。
何を隠そう、今回のトリオに参加する大井川俊英氏は、この大日本清柳会の
中堅メンバーであり、私達萩谷ファンの仲間でもあるDr.ダンディその人なの
です。ドラム歴40年(だったと思う・・)、あちこちのバンドに在籍し、
年間数え切れないくらいのライブをこなし、夜な夜なとある銀座のピアノバー
に出没してはジーン・クルーパ風味のドラムソロを披露し、その店の「一番太
鼓」を自認するベテランではありますが、昼間はちゃんとした(かどうかは不
明だが)会社に勤める、れっきとしたアマチュアドラマーなのです。
それなのに、大「萩谷清」との共演なんて、いいの? バチは当たらないの?

とまあ、おおいにびっくりしたという訳なんですが、考えてみれば、過去この
すとれんじふるうつでのライブはダンディ氏の知り合い関係のベーシストであ
ったり、ドラマーであったりと、つねにダンディ氏がらみではありました。
管理人さんとしてもすとれんじふるうつを、ダンディ氏とクラス的にも同様の
セミプロミュージシャンとの交流の場として門戸を開いていたふしがありまし
た。そう考えると、今回のダンディ氏の共演は不思議でもなんでもない話なの
ですが、いちばん驚いたのは、当のダンディ氏本人だったかもしれません。

そこまで分かってはいても、ついつい意地悪な私、ダンディ氏に会うと
「な〜んでダンディさん? ミュージックチャージは有料なの?」
とつっこんでしまいます。面白いから。
「いや、その、それは、何といっても萩谷清のライブなんだから・・」
と真面目に答えるのが、また面白くて・・・。

ともあれ、ドラムス:大井川俊英、ベース:横須賀JazzQuintet(Y.J.Q.)で
活躍中の天笠克己さんというメンバーでの萩谷清トリオのライブ当日となりま
した。前の週に「どんな曲をやるの?」とリサーチするも、
「いや、それがぜんぜん決まっていないんですよ」というダンディ氏の返事。
ううむ、インサイダー情報もとれないとなると、いつものように本番を楽しみ
に待つしかないかな?
■第1セット
 1. 枯葉
   オープニングは「お座敷JAZZ」「市川りぶる」につづいて、3連チャン
   でこの曲。もしかして横浜でもそうでした? でもいい曲は何回聴いて
   もいい。これだけポピュラーな曲でありながら、こんなに飽きのこない
   名曲も珍しいですよね? しかも師匠は気まぐれなのか、サービス精神
   からか毎回まったく変えて違ったアプローチで弾いてくれるので、それ
   も楽しみです。
   さてドラムはと見ると、さすがに緊張しているのかややおとなしめ。
   あれれ、いつものダンディさんじゃないよ。 天笠さんにもそれが伝染
   したのか、やっぱりいまひとつ元気がないかな?
   天笠さんのベースは流行りのサイレントベースに少しハコを足したよう
   な珍しいカタチ。セミアコースティックベースとでもいうのかしら?
   音はサイレントベースにそっくり。

 2. ジェントル・レイン
   この曲は萩谷師匠では初聴き。最近ではダイアナ・クラールが吹き込ん
   でいますが、私は何といってもボサ・リオ(ブラジル66の兄弟バンドで、
   A&Mの社長ハーブ・アルパートの嫁さんが在籍してましたね? ラニ・
   ホールつったっけ?忘れちゃった・・・)のバージョンが好きだったな。
   いやー、なつかしい。しかし萩谷師匠はこうして、パッパッと弾けちゃ
   うスタンダードが、のべ何曲くらいあるのでしょう。100曲じゃきかな
   いな?
   
 3. ゼア・ウィル・ネバー・ビー・アナザー・ユー
   今年の1月に、やはりこの大磯でベースの池田聡さんとのデュオで初披
   露(?)された曲をトリオで再演。

 4. 星影のステラ
   あっ、この曲もやっちゃいますか? 師匠、手加減無しですね?
   ダンディさん、天笠さん、師匠が仕掛けてきてますよ!
   もっとアグレッシブにはじけなくちゃ。

 5. ブルースエット
   昨年3月にこの大磯で聴いた曲。この一年半曲名がわからず、ずーっと
   気になっていたナンバーです。三拍子のボサというモダンな佳曲。
   そうでしたか、これがトゥーツ・シールマンスのあの曲ですか。 私、
   70年代にクインシー・ジョーンズ・オーケストラを聴きに行って、ト
   ゥーツおじさんの口笛ギターを目撃してますよ。その後、ハーモニカ
   主体のメロウすぎるアルバムばかりこさえるので興味を失くしたんで
   すが・・。でも、この人はジョージ・シアリングの看板ギタリストだ
   ったこともある、歴史的なミュージシャンなんですよね?
   ところでこのブルースエットって「Blue Sweat」? それともカーテ
   ィス・フラーと同じ「Bluesette」?

 6. ラウンド・ミッドナイト
   これも1月に池田聡さんとやっていた曲。 演奏中、C.アンさんが、
   「ねーねー、この曲何ていうタイトル?」と聞きにきました。セロニ
   アス・モンク作の超有名曲ですが、アンさんはこの手のブルームード
   の曲調が大好きみたいですね? そういえばお気に入りの「ハートス
   トリングス」も似たタイプのブルージーなナンバーです。

 7. ビリーズ・バウンス
   第一セットのラストはお馴染みのブルースナンバーで。
   タイトルは「ビリーのバウンス(ノリノリの)ナンバー」という意味
   ですが私、どうしても「ビリーのバンス(借金)」って連想しちゃう
   んですよね。生活苦のなせるわざか?
■第2セット
 1. So Natural 〜 ヒア・ゼア・アンド・エブリウェア
       〜 オーバー・ザ・レインボウ
   オープニングはソロ・ギターのメドレーで。

 2. 酒とバラの日々
 3. アンド・アイ・ラブ・ハー
   ここから、ベースとドラムも参加してのトリオに。
   ジャズの大スタンダードと、スロー・エイトビートのビートルズナン
   バーをつづけて演奏。ビートルズにこんなのあり?というようなジャ
   ジーな速弾きアドリブが(スローナンバーなのに)展開されます。

■セッションセット
   いよいよここからこの日のメインイベント(?)、セッションタイムと
   なります。私もこの日ギターを持っていきましたよ。
   だって、ライブ情報に、「萩谷とセッションしたい人は楽器を持って
   集合!」って書いてあったでしょ?
   あれれ、他には誰も参加しないの? RYOさん、マイ・マイクはどう
   したの? 一人にしないでよ! わかりました、こうなったら一人
   でもやらせてもらいますよ。悪いけど。
   じつは、私はこの日のために密かに練習していたんだから。 まず、
   例の「ハートストリングス」を完コピしたんです。その他に師匠は
   まずやらない「ユード・ビー・ソー・ナイス・トゥ・カム・ホーム・
   トゥ」も練習してきたし・・・。
   ですが、アンさんが来ているしなあ。アンさんは師匠の「ハートスト
   リングス」が聴きたいんです。さっき、ラストでやってって言ってた
   ような。 ということで急遽、以下の宿題となっていた曲から始める
   ことになりました。   

 4. ジャスト・フレンズ
   この曲は前回、横浜ジャズ・プロムナードで師匠が弾いていて、それ
   を聴きに行ったダンディさんが感激していた曲。
   それなら一緒にやろうかとこの掲示板で急遽決まったんですよね?

   「イントロなしですぐテーマに行くよ」という師匠の号令で始まりま
   す。こういうの好き。じつは師匠のこの曲は聴くのは私初めて。
   コードバッキングしながらもうっとり聴きいってしまいました。
   そのままずっと聴いていたかったんだけど、師匠がワンコーラスを弾
   いたところで「行け」と促します。

   ここで私のソロ。あれほどBbm6、Eb7のところはFスケールのままじゃ
   いけないと言われていたのに、ついつい忘れて弾いてる自分に気がつ
   く。後半おりまぜて弾いたけど、生兵法のためかえって変なフレーズ
   になってましたけどね。

   ところで私のソロのあたりから、やや控えめなドラムだったダンディ
   さんがなかなかノッてきた! うっ、アリガトウ、さすが友達だ。
   エンペラがんばれって応援してくれてるんだね?・・・・ってそうじ
   ゃないな!?
   値の張る高級品(萩谷師匠)を触るときには緊張するし、どうしても
   恐々となってしまうが、安物のバッタ品(エンペラ)は気軽に多少乱
   暴にも扱えるということでリラックスしてるな?こら〜っダンディ!

   ま、ともあれノッてきたことはいいことで、そのあとの師匠のソロに
   なってもイイ感じはつづきます。しかし師匠のソロがいいんだ。メリ
   とハリが効いていて、バッキングしてるほうも気持いいったらありゃ
   しない。 私、コード弾きながら踊っていたと思います、多分。
   つづく天笠さんのベースソロもよかった。この日いちばんのノリだっ
   たんじゃない? 次はドラムソロかと思ったんですが、師匠とエンペ
   ラのギターのフォー・バース交換となります(ダンディさんゴメン)。

   ここの部分は聴いてる人も面白かったんじゃないの? 
   師匠のリードに引っぱられるように私も気持ちよくソロが弾けました。
   うれしい、楽しい!
   これで録音を聴き返してみて、交互に弾いているどっちがどっちか判
   らないというふうだったら最高なんですが、それは歴然。
   (当たり前だ!)でも、師匠のL5と私の335と、ピックアップや回
   路は同じものである可能性もあるんですがねぇ・・・。
   (同じギブソンだという自慢も少々。ただし値段の差ははげしい) 
 5. ブルー・ボサ
   これもスケール処理の宿題となっていた曲ですが、青江会長が来られ
   ないと聞いて、「うむ、テーマ弾きをいただいてしまおう」という
   邪念が湧き、当日の昼間に一生懸命練習してきた曲でした・・が。
   (この曲は青江会長のオハコなのです)

   いざ、本番でテーマを弾こうと思ったらとんでしまっていた。
   つまり忘れて思い出せない(年齢ですな〜)。
   アタマを弾いて、そのあとが出てこない!
   「すみません、師匠かわりに弾いて・・・」とテレパシーを送るが、
   師匠はバッキングのまま、私の弾くのを待っている。
   で、仕方がないのでもう一回アタマから・・と思ったら曲は先まで
   進行してたんだよね? 当たり前だ。

   終わった後、師匠から、「2回弾き直しただろ?ダメだよ、二度弾き
   禁止だよ」と関西の串焼き屋のようなお小言をいただいた。
   ま、演奏中はすぐに立ち直って転調含みのアドリブをバリバリ・・・
   とはいかなかったけど、何とか頑張り、気分は師匠の超速弾きのまね
   っこ・・・のつもり。

   しかし私の限界はこのテンポでは三連八分音符のちょっと連続がいい
   ところ。師匠は連続高速16分音符出しまくりですからね!
   ともかく、私のソロでこの曲の持つコード感やテイストがだいぶワヤ
   になったと判断したためか、つづく師匠のソロは、ぶっ飛び速弾きの
   前に絶妙なメロディフェイク中心のソロから先行。 私の不手際を
   「なかったこと」にすべく、曲の美味しさを提示してくれています。

   そして、徐々にいつもの熱いクライマックスへと移行していきます。
   ここでも、その熱さに感応してかダンディ氏もいつもの彼らしいジャ
   ブを繰り出し始めた。ダンディさん、もともとこの曲得意だものね?
   いままでブラシに終始していたのをスティックに持ち替え、かなり
   頑張ってるぞ!師匠のアドリブもいつものヒート加減になってきた。
   うわ〜っ、凄いぞ! 一緒に演奏しているのが誇らしくなる瞬間。
   最初になんか不手際あったっけ?もう忘れちゃったな〜。
   
 6. 朝日の如くさわやかに
   お客の中に地元のアマチュアギタリストが来ていて、彼もセッショ
   ンに参加しそうだったんですが、この時点で勧めても出てこようと
   しない。せっかく私がギターを貸してあげようとしたのに。
   さては、私のギターを聴いてびびったのか?(お前じゃないだろ?)

   というわけで、ひきつづき私が参加(このやりたがりっ!)。
   まずワンコーラス、師匠の模範演奏のテーマから。ついで私がアド
   リブにはすぐ行かず、もう一回テーマをワンコーラス。
   やってみたかったの、師匠のまねっこを。しかし4小節目の「タ・
   タラララ、タラララ、タラララ」は難しいので弾かない。
   2小節目のは出来るんだけど、4小節目のやつは人差し指・中指・小
   指のスムースな連携が大変なのよ。

   アドリブに入って思い出した。私、最近この曲不調なんです。
   メロディづくりのコントロールがきかないせいか、Aメロのところ
   がサビに行っちゃったみたいな雰囲気になったりします。
   親切な人はそれを聴いて、「とばしてサビに行ったな?」とサビの
   コードをつけたりする。師匠たちはちゃんと順番通りにバッキング
   してくれました。

   まあ、ともかくソロを交替した師匠のどっしりとすばらしいこと!
   サビの箇所にくると、ぱーっと視界が広がったような展開だし。
   それにくらべると私のギターは不安定だよな〜。
   ま、現時点ではこんなもの。これからもっと練習をすれば・・。
   でも、もし私が明日突然死んだとして、葬式ではこの録音を流して
   もらってもいいかな?
■アンコールセット
 7. キャラバン
   終わった、終わったと放心状態になっていたら、師匠から、「アン
   コールのリクエストはないの?」とこの曲からトリオで再スタート。
   いつものめくるめくギターソロから、壮烈なドラムソロへ・・・と
   言いたいところですが、ダンディさん、またブラシに持ち替えてや
   や迫力がなくなっちゃったよ。もう、私がついていないとすぐ引っ
   込み思案になるんだから。
   というのは冗談にしても、やっぱり師匠に合わせようとし過ぎ。
   まず相手の出方を見て、叩き方を決めているみたいに見えます。
   トリオは主役対サポート二人というスタンスより、それぞれが主役
   で、時には大先輩に対しても「おれについてこい」くらいの場面が
   あったほうが面白いよ。私が言える立場ではないが・・。

 8. いつか王子様が
   ご主人を連れてきてくれたKAZさんのための演奏ですね?

 9. スカイラーク
   何故か突然この曲のリクエストが。さっきレコードで流れていたん
   だっけ?
   ベースの天笠さんと楽譜を見ながら・・・という弾き方にしては、
   完璧な滲みいるような演奏!
   先ほど師匠は100曲以上のスタンダードが弾けるはずだと言いまし
   たが、認識不足でした。師匠は自分がメロディを知っていて(聴い
   たことがあって)、楽譜があれば何でも弾けます(ライブ本番で)。
   つまり、自分の知ったメロなら、普通の人が鼻歌を歌うように瞬時
   にギターの指板に置き換えられる。
   そして、譜面のコードを見ただけで、その曲で使える装飾メロ、
   変奏までも瞬時に割り出し、演奏のマテリアルとしてコントロール
   可能にする。
   だから、萩谷清スタイルでだったら弾けない曲はない!
   ちくしょう、世の中不公平だ!

10. ミスティ
   C.アンさんが、「萩谷清だったらやっぱりブラジリアン・ストン
   プをやってくれなくちゃ」と駄々をこねていました。
   でも、楽譜もなかったので、さすがに初めてのベース、ドラムと
   では無理ということで納得してもらって・・・。
   でも、ここでRYOさんからビッグ・ニュースがリークされます。
   「ブラジリアン・ストンプは31日の公開レコーディングでやるか
   ら・・」いいこと聞いちゃった!
   というわけで、最後はしんみりと「ミスティ」で幕となりました。