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そう、このユニットはいつものTrio de
IHIならぬ、ベースが伊藤さんから
前回の自由が丘でのデュオのお相手荒川康男さん。
バンド名は当然、Trio de AHI
ということになる? あひっ?
聴いた感想はというと、この曲目(スタンダードジャズ)をやるには Trio de
IHI
よりもいいかも知れない。
伊藤さんもご存知のように素晴らしいベーシストですが、エレクトリックベース
ご専門なので、スタンダードジャズのときはサウンド的にすこしはみ出し気味に
聴こえ、馴染みがいまいちの気がします。
もちろん「マリア・セルヴァンテス」などのラテンナンバー、「カミン・ホーム・
ベイビー」などの8ビートでは抜群のハマり方で惚れ惚れするのですが。
それに比べ、Trio
de AHI
の荒川さんはさすがにジャズベースの大御所、抜群の
安定感でトリオのグレードをぐんと引き上げてくれる印象でした。
とは言うものの、これは内緒なのですが(掲示板でそれもないか・・)、
じつは自由が丘のデュオのときは、師匠のギターと荒川さんのベースの相性は
あまりよくないような気がしていたのです。
萩谷清のギターは、ちょっとアヴァンギャルド・・・というのは乱暴な言い方に
なり、誤りになるのですが、退屈を嫌うというのか、スケール的にもリズム的にも
かなりチャレンジャブルなところがあります。
とくにリズムにはそのことが顕著で、べったりした平坦な行き方を極力避けている
ふしがあります。リズムの順列組み合わせというか、音型の因数分解というか。
仮にあなたがドラムが叩けたり、リズムギターが弾けるとして、萩谷清のソロに
バックをつけてみると、その意味が一発でわかります。
こちら(あなた)は一定のリズムパターンを刻んでいるのですが、萩谷清のギター
に合わせていると、一瞬拍のアタマを見失ったような感覚におそわれ、自分が
間違ったんじゃないかという気がしてくるはずです。それがソロの間に何度も
ぐいぐいと襲ってくる・・。
それこそが萩谷清の旨味であり、醍醐味で、リスナーにとってのいちばんの聴き
どころなのですが。
しかし共演者にとってみたら、けっこうな難物でもあるのでしょう。
前回の自由が丘での荒川さんは、萩谷師匠との30年ぶりの共演で(ほとんど
初共演みたいなものですね?)、いくぶん様子見にまわっていたようでした。
「面白いギターだがどうくるか判らないので、リズムキープに徹しておこうか」
ということだったのかも知れません。
しかし、師匠のほうも自分勝手にリズムを翻弄するのではなく、相手との出方
のバランスも見たうえでのフレーズづくりが身上なので、荒川さんのまとめ方に
同調していったようで、いくぶん持ち味を抑えめにしてしまった。
で、『穏やかな大人のジャズ』にはなったのですが、残念ながらスリル満点とは
いきませんでした。
しかし今回はいい! 荒川さんも師匠との共演に馴れたせいか、いや名人市原さんの
当為即妙なリズムプッシュのたまものなのか。
それぞれがグッと自由になり、解き放たれたようなビビッドな演奏になっている。
市原さんはドラムを叩きながら、ソロイストの顔をずっと見つめつづけます。
その市原さんの顔を見るのもなかなか面白い。
「ふーん、そうくるのか?」
「で、次はどうやるの?」
「なるほど、それは面白い」
「え、そんなことまでやっちゃうの?」
「いいよ、いいよ、すごくいい」
と思ってる(はずの)市原さんの表情もジャズそのものだなー。
なお、今回の師匠の使用したアンプは珍しくもフェンダー・ツイン・リバーブ。
いつものAER
BINGOもいいけど、さすがに世界の名器ツイン・リバーブ、
ふっくらとした艶のあるいい音がしていました。
神経質なところのない、安定感のあるいいアンプですねー。
■第1セット
1. グリーン・ドルフィン・ストリート
On Green Dolphin
Street
2. 星影のステラ
Stella By Starlight
3. あなたなしには
There Will Never
Be Another You
4. イパネマの娘
The Girl From Ipanema
5.
いつか王子様が
Someday My Prince Will Come
■第2セット
1.
ゼア・イズ・ノー・グレーター・ラブ
Ther Is No Greater Love
2. ジャスト・フレンズ
Just
Friends
3. ハッシャバイ
Hush-A-Bye
4. フルハウス
Full House
5.
アイ・リメンバー・ユー
I Remember You
6.
キャラバン
Caravan
定番が並ぶなかで、「ハッシャバイ」が新しいレパートリーでした。
タイトルは子守唄という意味で、『Lullaby』と同じなのでしょうが、
もうちょっと『ねんねんころりよ』っぽいニュアンスのようです。
Hush
には「静かにさせる」などの意味のほかに「しっ!」という意味の
使い方があるとのこと。ディープ・パープルの「Hush
」はこれですね。
曲名では「ハッシャバイ(Hush-A-Bye)」で通っていますが、
辞書を引くと最後のeのない、Hushaby しか載っていません。
今回の「ハッシャバイ」はPPMのそれとは同名異曲で、古くから知られる
ジャズ・スタンダードのほう。
私はVのみずえちゃんとこの曲をよくセッションしましたが、コード進行が
カーティス・フラーのアルバム『BLUES
ette』のなかの、「ラブ・ユア・
スペル・イズ・エブリウェア」とそっくりなので、メロディをまぜこぜで
やるのが楽しかったですね。
そういえば、モニカ・ヴィッティの主演映画「スエーデンの城」のテーマにも
よく似ています。こっちは多分パクリでしょう。
最後の「キャラバン」は突然のリクエストでした。
市原さんのドラムで聴いていなかったことを思い出したのです。
なんで今まで気がつかなかったんだろう?と思うくらい名案でしょう?
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