Mr,エンペラのライヴレポート

Jazz Guitar Duo 大磯すとれんじふるうつ / 2004年11月20日(土)
Gt:直居 隆雄 Gt:萩谷 清
Special Act (Pre Stage) Gt:遠藤昭浩 Gt:露木達也



今回の大磯は、先月のダフネに続いてまたまた直居さんとの共演。
しかし考えてみれば、ジャズギター、スタジオ界の超ビッグ、直居隆雄と萩谷清の
デュオが大磯くんだりで度々聴くことができる・・・。
なんと湘南の私たちは恵まれていることでしょう。
これも直居さんが●子にお住まいのおかげ、萩谷師匠宅が第三京浜にほど近いおかげ?
しかし直居さんはいつ見てもお洒落。この日もトレードマークの革のパンツでキメて、
真っ赤なアルファロメオを駆ってのお出ましでした。カッコええねー。

ところで今回はすとれんじふるうつのマスターのプロデュースで、もう一組の
ギター・デュオを迎えてのオープニングアクト付き。
ギターファンには堪らない企画ですね!

■オープニングアクト(遠藤・露木デュオ)
1. 酒とバラの日々
2. 男が女を愛するとき
3. トリオ・ザ・パイス
4. スマイル
5. マイ・ワン・アンド・オンリー・ラブ
6. アローン・トゥゲザー

まずはエレガットを携えた新進ギタリスト、露木達也さん(若干22歳!)と
ES350(L5にそっくり!)でオクターブ奏法をばりばりキメまくるベテラン
遠藤昭浩さんのデュオが先攻です。
このお二人はすとれんじふるうつのレギュラーのほか、毎月数多くのライブを
こなしているいわばセミプロ。
しかし、大磯すとれんじふるうつってアマチュアバンドのメッカというイメージが
あったし、最初ちゃんとした紹介がなくライブが始まったため、
「えっ、この人たち、こんなに巧いのにアマチュア?」とビビってしまいました。
バッキングのコードヴォイシング、アドリブソロのスケールづかい、どれをとっても
本物のジャズ。なかなかおいしいフレーズも満載だし。
しかも露木さんは年齢通りの若者だし、遠藤さんもお歳を聞くまで実年齢よりも
10歳は若く見えていたので・・・。
こんなに若くて巧い人がごろごろいるんじゃ、私なんかがいまさらジャズギターの
勉強を始めても遅すぎるんじゃないか。
やはり諦めたほうがいいのでは?などと考えちゃいました。
でもじつは遠藤さんは5年ほどブランクはあったものの、それ以前は数多くのレコー
ディングを残しているれっきとしたもとプロ。巧くてあたりまえ。
だけど露木さんがジャズギター歴わずか2年というのを聞いたときはやはりショック
でしたね。まあ、天才というのはいるもんだということですか・・・。
やっぱりジャズギターは諦めようかしら?
しかし謙虚な彼らは、「僕らのいい加減な演奏を聴いていただいて申し訳ありません。
すぐに終わらせてホンモノの演奏と交替しますので・・・」などと言っていました。
リハの時、管理人さんたちの音を聴いて心底ぶっとんだということでした。

ということで、若手デュオにつづきホンモノの本物の演奏が始まります。


■第1セット(直居・萩谷デュオ)
1. オン・グリーン・ドルフィン・ストリート
2. 朝日の如くさわやかに
3. リカード・ボサ・ノヴァ(ザ・ギフト)
4. オールド・フォークス
5. ハウ・ディープ・イズ・ジ・オーシャン
6. ストレイト・ノー・チェイサー

さすがトッププロの演奏。比べてしまうのは先攻の二人に大変申し訳ないとは思うのですが、
やはり先ほどの演奏とはひと味もふた味も違うという印象です(ホントにごめんなさい)。
まず、音色がいきいきとしているというのか、とくに音量が上がっているわけでもないのに
粒立ちがくっきりしていて、何が弾かれ、何が表現されているのかハッキリ目に飛び込んで
くるような視界のよさが感じられます。
そしてどんなに音数が増え、複雑なフレージングになっても、音楽のストーリーがシンプル
に心に届いてくるのというのがあらためての驚き。 
(2)の「朝日の〜」では、直居さんがあえてバッキングのリズムを弾かない場面を作ることで、
かえってリズムを躍動させるのを目の当たりにします。
このへんの呼吸というのは、あらかじめ構成を決めておいてできるものではなく、ジャズ
ならではの、すぐれたミュージシャンならではの反射神経のなせる技にため息がでてきます。

(3)の「リーカード・ボサ・ノヴァ」は待ってましたのナンバー。
いつもリクエストしたいと思っていたのですが、曲調が「ブルー・ボサ」とややダブるため
遠慮をしていたのです。
ここでは管理人さんが用意してきた譜面で、直居さんが初見でメロディをとります。
「メガネかけるね?」と直居さん。メガネをかけると初見が弾けるのか?
そんな魔法のメガネがあったらぜひ購入したい!

このセットの最後の(6)は先ほどの遠藤さん、露木さんをステージに呼んでのジャムセッション。
ソロは直居さん、遠藤さん、露木さん、管理人さんのオーダーで。
そして最後は、壮絶ギター4本でのフォー・バース(4小節ソロ交換)大会!
先ほど、ヤングチームとベテランデュオの音色が違って聴こえたということを言いましたが、
ここでの遠藤さんの音色はセッションということでリラックスできたためか、俄然いきいき
としてすばらしくなり、管理人さんと聴き分けができないほど。
つまりノることにより音が前に出てゆき、生きたサウンドになってくるんですね。
ちなみに露木さんはガットなのでどんな場合も聴き間違えようがありませんね?
また、直居さんは弦とトーンセッティングが他の人とはかなり違うようで、こちらも独特で
すぐに聴きわけられます。

■第2セット(直居・萩谷デュオ)
1. ハッシャバイ
2. ライク・サムワン・イン・ラブ¥
3. ワルツ・フォー・デビー
4. アイル・リメンバー・エイプリル
5. ブルー・ボッサ
6. 枯葉

第2セットは、まず(1)「ハッシャバイ」で管理人さんのソロ・ギターから。
私は、この演奏が短くてやや物足りないなどと憎まれ口を叩いていたのですが、じつは前回
の鎌倉でのトリオ・プラス・ワンでの同曲の演奏が強烈に印象に残っていたため。
あの時の、ソロからフォー・ビートに変わる瞬間のかっこよさには鳥肌が立ちましたからね。
しかし今回の録音を聴きなおして、このソロの「ハッシャバイ」のすごさにもあらためて圧倒
されています。 これ以上、足すことも引くこともできない完璧な美しさ!
申し訳ありません、このソロも最高です。

(2)はバトンタッチして直居さんのソロギター。これまた最高!

(3)は直居さんのお得意。ビル・エヴァンスの佳曲でRYOさんのお気に入り。
裏幹事さんをねぎらうために私がリクエストしました。

(4)は管理人さんの最近のフェバリットのようで、共演者にいつも持ちかける曲です。
なぜか不意をつく曲になってしまうのか、共演者から却下されているのを何度か目撃
しています。(管理人さんかわいそう・・・)
いつものようにソロでコード展開を提示しながら直居さんに聴いてもらい、
「シアリングの・・・」と説明していると、直居さんが「オッケイ」と返事しながら演奏に
参加してきました。よかったですね!

(5)からはまたヤングチームを参加させてのセッションタイム。
ガットギター(ボサ用ギター)があるので、師匠お得意の「ブルー・ボサ」あたりで
盛り上がってほしいなーと思っていたら、ちょうどそのとき師匠がCmの音をザッと。
私が「それブルー・ボサですか?」と聞いたら、「ブルー・ボサをリクエスト?」
とということになり、決定。
(しめしめ。ほんとうは「ウェイブ」? それとも「枯葉」だったのかな?)
師匠が急速テンポのCm、F7という例のイントロを弾き始めると、直居さんのギターが
鋭く切りこんできてそのままテーマ、第一ソロを弾ききります。
直居さんの「ブルー・ボサ」は初めて聴くので、そのスピーディなメロディ弾きに
興味津々。ソロももちろんさすがです。
ついでガットギターの露木さんが第二ソロに突入。これまた美味しいソロを連発。
つづく遠藤さんもテクニカルな3連シーケンス、お得意のオクターブ弾きを繰り出し
師匠へとソロを渡します。
萩谷師匠といえばもう説明要らず、珠玉のソロに若手二人は茫然と見とれている様子。
あの直居さんもニヤニヤと「いいねー」と言いたげです。
このセッションも4人フォー・バースで絢爛豪華にエンディングを迎えます。

(6)の「枯葉」はテーマを遠藤さんに任せることになり、遠藤さんは「えっ?」と
言いながらもなかなか華麗な演奏を開始。テーマ、第一ソロを見事に弾ききり第二ソロを
露木さんに引き継ぎます。彼もまた、小憎らしいくらい達者なソロを披露、大先輩軍団に
無事にソロを引き渡します。
このへんで気になってきたのがバックに回ったときのそれぞれの対処方。
何せ4人ギターの場合、一人がソロをとっているとき3人がバック係となります。
デュオのときはかなり機能的なバッキングをやっている露木さんはセッションのときは
ベーシックなリズムキープとかには行かず、軽くオブリを入れる程度。もしかしたら
アドリブで当為即妙なバッキングを入れるほど、まだ引き出しが貯まっていないのかも
しれない。間違ってたらごめんねー。
(いくら巧くてもまだ若いからねー。ちなみに私は年寄りですがやっぱり引き出しはありません)
そこへいくと年長の遠藤さんはウォーキングベース、コード崩しオブリ、フォービート
カッティングと何でもござれといったところ。ただし生来の気の優しさ(?)からか、
絶対にトゥーマッチになったり、人の邪魔をしたくないという配慮からか、セッションの時
にはややベーシックすぎたり、抑えすぎたりしている気配。大先輩への気後れなのでしょう。
仕方ないよねぇ・・・。
ともあれ、この曲でも4人フォーバースはとても楽しく、セッションの面白さが横溢して
いました。
最後の最後にエンディングで萩谷師匠がちょっといたずらを仕掛けます。
すんなりと終わらせず、4人それぞれがカデンツァ(エンディングでソリストが技巧を
見せるべくパラパラッと弾きたおすアレ)を披露するように仕向けます。
直居さんが弾き、つづいて遠藤さんが。そのあとはガットギターの露木さんの番・・・
なのですが、ガットでバラバラッとやるとなぜかフラメンコ臭くなる。
思わず客席から笑い声が。
笑うのはあんまりだよ、せっかくカッコイイフレーズでキメてるのに。
しかし、たしかにエレキの合間にガットギターのリキの入った音が挟まると妙に可笑しい。
でも、どうやったらこの場合笑われずにすむんだろう?
クールダウンするような牧歌的なフレーズでも入れるか? バッハみたいなクラシック
ギターを挟むのもお洒落かもしれない。 管理人さん、正解は?

ともあれ、4ギターセッションは大成功!
とっても楽しいライブとなりました。
終わってからすとれんじふるうつのマスターがやってきて、私をつかまえて
「あれー、ここにもギタリストがいたのに何で一緒にやらなかったの?」と
からかってきます。
「・・な、何を言うんですか。こんな大プロの中に入ってできるわけないじゃないですか!
   それに最近忙しくてギターあんまり触ってないし・・」

ここでMOさんがおっとりととどめを刺します。
「エンペラさん、一緒に演奏できないのはギターあんまり変わってないからって言った?」

「・・・どうせギター(の腕前が)変わってませんよ! ぐすん」