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ライブ情報に、『会場はFOR 10 THOUSAND PEOPLE(昔のフーチークーチーズ』とあるの
を見て、「フーチークーチーズ? 楽器屋さん? たしか3年前の『L5お買い物大作戦
レポート』のときに登場したお店じゃなかったかな?」
などと思って駆けつけてみると、はたしてそこはブティック風のおしゃれな楽器屋さん。
店の奥に入っていくと、PA装置やアンプをセットして客席をしつらえたライブスペース
となっていました。聞いたところによると渋谷にもお店(本店?)があるということで、
ここ、『FOR 10 THOUSAND PEOPLE』は、現在はライブスペースの提供を主体としている
のかもしれませんね? しかし、『1万人のために』とはどういう意味なの? 上馬町民
の数? それとも楽器店の登録ユーザ数が1万人なのかしら?
私が到着したときは、すでに青江会長はいちばん前の席で、直居さんと萩谷師匠のリハ
ーサルを聴いていました。
そう、このライブ会場は青江氏宅の町内と言っていいほどの至近距離にあるのです。
「ふっふっふエンペラさん、今日は遠くて来にくかったでしょ? このデュオはいつも
湘南でばっかりやってるからね。 ボクがなかなか聴きに行けない不便さが実感でき
たでしょ?」などと至極ごきげんな様子。
ちょっと憎らしいが、確かにいままで湘南勢は恵まれすぎてましたからいたしかたない
でしょう。 それにこの会場は楽器屋さん運営だけあり、音響的にもしっかりしていて
とてもいい。おまけにチャージが申し訳ないくらい安くて、しかもフリードリンク。
これからもどんどんやってほしい、すてきなライブスペースです。
というわけで、昨年の大磯、鎌倉に続いて萩谷師匠と直居さんのデュオもこれで5回目。
今日はどんな演奏を繰り広げてくれるのでしょうか。
■第1セット
1. 酒とバラの日々
王道のスタンダード曲からのスタート。まずは先輩・直居さんにリードを預け、萩谷
師匠がバッキングにまわります。ゆったりとしたテーマ弾きの端々に、いかにも直居
さんならではの急速調のオブリをからめたギターが抜群です。 隣の席で会長が、
「うげ〜っ」と驚嘆の声を漏らしているのが聞こえます。
私ももちろん同感なのですが、それどころじゃありません。なにせ手を伸ばせば二人
のギターに触れそうな至近距離の席に座っているのです。 萩谷師匠の、デュオのバ
ッキングとはこうあるべしというヴォイシングフォーム、直居さんの華麗なフィンガ
リングにもう目移り状態。キョロキョロしてしまっています。
2. Isfahan
イスファハンと読み、イランにある地名とのことです。不思議な綴りなので、最初
何かのアナグラムなのかと思いましたが。エリントンとビリー・ストレイホーンの
ペンによる曲で、いかにもらしいモダンな曲調のナンバーです。ピアニストが採り
あげることが多いというこの曲は萩谷師匠が持ち寄ったものらしい。
「彼が急遽この曲をやろうというのでメガネをかけて楽譜を見ますね?」と直居さん。
メガネをかけると初見が弾けるのか?そんな魔法のメガネがあったらぜひ購入したい!
(これ、前回も書きましたね? ・・・私はくどいのです)
3. ゼア・ウィル・ネヴァー・ビー・アナザー・ユー
ものすごいハイテンポで演奏されたこの曲、まず先攻は師匠のリード。鋭いバッキ
ングをこなしつつ、「イエーイ!」とエールを送る直居さん。師匠のソロに交替し
てバッキングフレーズの延長がそのままソロの導入部となる展開がかっこいい!
しかし同じギターでも二人の持ち味はそれぞれ違うものです。エンジンで言えば師
匠のギターは4ストロークマルチ。どんなにとばしても音色はあくまでも美しく、静
粛なおもむきさえ感じさせます。そこへいくと直居さんは2ストシングル。激しい
ピッキングにより、弦がフレットにあたる「パチッ、パチッ」というノイズまでも
が荒々しい魅力となっています。後半の4バースは2台のマシンが抜きつ抜かれつの
デッドヒートを見るような迫力。演奏が終わると直居さん、「おい、速すぎるよ!」
と叫んでいました。
4. ラブ・ダンス
今度はぐっとしっとりとスロー・ボサで。初めて聴く曲ですが、誰の曲?
しかし、速かろうと遅かろうと二本のギターは曲のエッセンスを十二分に醸し出し
漫然とした展開にはけしてならないのが凄い。ジャズギターとは芸術だ、そう実感
させられる時間が流れてゆきます。
5. 不思議の国のアリス
ビル・エバンスも得意とする、ディズニー映画のリリカルなテーマ曲。もちろん
ワルツ曲ですが、なんと途中で4ビートに。ライブのあとに、「あれは打合わせの
アレンジですか?」と質問したところ、「いや、弾いていると相手がこうしたいと
いうサインは音でわかるんだよ」という師匠のご返事。
「打ち合わせしていても本番でミスるのが俺達だけどね・・」と顔を見合わせる
会長とエンペラ。
■第2セット
1. 叱られて
このセットのスタートは二人とも別々にソロギターを、ということで先攻は萩谷
師匠から。
「ソロギターは童謡をやろうかということでちょっと・・・」
「動揺してる!」
「ああ、言われちゃった! これ、どうよ!」
などと、芸術家はのたまわっておりました。
2. ドルフィン・ダンス
直居さんのソロはハービー・ハンコックのこの曲。
「この曲をソロでやったのは実は初めて。萩谷くんはちゃんと計画性のあるソロ
ギターで、盛り上げも計算されたいいソロだったけど、私のはなりゆき。性格
が出ちゃう」などと謙遜されていましたが、いやいやお見事な出来。
3. リカード・ボサ・ノヴァ(ザ・ギフト)
これは嬉しい! 前回大磯で初披露された二人の「ギフト」。私はさっそくコピー
して練習していたのですが、前回テーマをとられた直居さんのフレーズがかなり
難しい。テーマ部分からかなりの崩し弾きをされているので難儀していたのです
が。今回はテーマを萩谷師匠が。まあ、萩谷節もかなりの難易度ではあるのです
が、二人の美味しいところをひとあたりさらって自分の弾き方を絞りましょう。
などと、興味津々で今回の演奏を聴いていたら、なんとボサが途中で4ビートに
なったのでビックリ! いやー、いろんなことやってくれますね。
4. ジョイ・スプリング
ここでお店のスタッフさんから、萩谷師匠が使っているアンプから異音が出てい
るということでアンプ交換タイム。そういえば、師匠の弾くフレーズに合わせて
誰かが「シーシー」とサイレント口笛を吹いていたような気がしていたけど、あ
れはノイズだったのか?「巧い口笛だな」と思っていたのだが・・・。
その間、直居さんが萩谷師匠とのエピソード、ジャズギタリストとして成熟して
きた萩谷清像などをコメント。
「アンプはいいかな?」「オッケーです」ということで、あらためて再スタート
したのがこの難曲です。なにせ転調につぐ転調でめまぐるしいことこのうえない。
しかし、二人の演奏はせせこましいことなどまるでなく、タイトル通りのウキウ
キとした楽しい仕上がりです。
5. ロード・ソング
うへー、これまた嬉しい曲! ビシバシとエッジの利いた直居さんのバッキング
に、とろけるような師匠のオクターブ奏法! これは美味しい! ライブ会場が
全体的にニコニコしてくるような楽しいムードに充たされます。
と、見ると、ソロを交替した直居さんも全編指弾きのオクターブ奏法を繰り出し
ている。(直居さんは原則としてほぼ全編ピック弾きの人なのです)
しかし、この演奏であらたまったことではないのですが、ギター2本だけなのに
この表現の豊かさ、密度感はどうしたことでしょう?
「エンペラさん、俺達もギター同士。ゆくゆくはこんなギターデュオを再現して
みたいものだね・・・」会長がめずらしくまじめな顔をしてそう言った。
6. ストレイト・ノー・チェイサー
アンコールはブルースで、ということで。感激、感激のライブ終了!
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