Mr,エンペラのライヴレポート

萩谷 清トリオ
at 横浜 関内『LAZY BONES』2005年7月8日(金)
Gt:萩谷 清 Bass:斉藤 誠(クジラ) Drums 市原 康


1st.
 1.  How High The Moon
 2.  Till There Was You
 3.  When You Wish Upon A Star
 4.  Like Someone In Love
 5.  Corcovad
 6.  Sandu
 7.  Stella By Starlight

2nd.
 1.  There Will Never Be Another You
 2.  Autumn Leaves
 3.  Sunny
 4.  Yesterday
 5.  Whisper Not
 6.  Along Came Betty
 7.  Slow Blues
 8.  Caravan

Encore
 1.  Skylark
 2.  Blues in F (Now The Time)

というメニューでした。
なかなか、多方面にそそられる曲目でしょ?

「Till There Was You」は、アルバム『Montgomery Land』以来、
久しぶりの演奏だと思うのですが、スタジオテイクとくらべ、ぐっと
ジャジーにかっこよく進化していました。
ベースの斉藤さんも演奏後、「う〜ん、やはり名曲だね」と満足そう。

その斉藤さんのベースは、アップテンポの曲はもちろん、超スローな
ナンバーになってもリズムがぼんやりと曖昧になる瞬間がまったくない、
構成力が行き届いたもので、そのバカテクともいえる演奏と相まって、
ドラムの市原さんと非常によく似たテイストを感じさせます。
ベースソロのメロディラインにもそれがよく表れており、まるで、
「書きソロか?」と思わせるほどの迷いのなさは、ちょっとバケモノ
の領域の人ですねー。

そうだ、IHIとか、HIS(Hagiya-Ichihara-Saitoh)とか、
いい加減なユニット名はやめて、このさい The Monsters にすれば?

「Sandu」は大磯で直居さんとのデュオに引き続き2回目の披露。
トランペッター、クリフォード・ブラウンのブルースナンバーです。

「Stella By Starlight」はもう萩谷清の定番曲ですが、この日は
いつもよりぐっとスローに。実験的ともいえるモダンなコードボイシング
をおりまぜ、まさにこの日のハイライトとなる名演でした。

「Sunny 」はもちろん私のリクエスト。またかと言われそうですが、
斉藤さんや市原さんにとっては初めてだったので、まあまあマナー違反
じゃないでしょう? トリオの出来栄えは、あきれるほどの素晴らしさ。
いわゆるノリノリというやつ。
「Yesterday」は「Sunny 」のエンディングから突然、メドレーの
ように始まりました。

「Whisper Not」はこの日弾き下ろしの新作。あまりに名曲を多作する
ため、かえって本業のサックスを貶されている可哀想なベニー・ゴルソン
のこれまた傑作です。 キャッチーで憶えやすいメロディのわりには、
いろいろ仕掛けもきいており、聴く人を飽きさせない魅力的な曲です。
つづく「Along Came Betty」もベニー・ゴルソン作ですが、こちらは
やや難解な曲調をもった、ゴルソンにとってはクセ球っぽいナンバーでは
ないでしょうか? 途中で「恋人よ我に帰れ」によく似たメロディが
顔をのぞかせるのが楽しい。 この曲は大磯の直居さんと前回初お披露目
して、師匠にとっては2回目の演奏でした。
しかし、ほとんど初披露というわりには、もうこれしかないという出来で
早くも定番の雰囲気さえ漂っている。

「Slow Blues」はほとんどテーマメロらしきものを出さない、即興の
セッションぽいナンバーでしたが、ジャズ・ブルースというより、もう
ちょっと一般的(?)なギター・ブルースとなっており、あまりジャズ
のライブはやっていない『LAZY BONES』には、よい名刺代わりの演奏に
なったのでは? 店の常連さんらしきお客さんも、みんな口をあんぐり
のノックアウト状態でした。

で、さんざん盛り上がったあげく、「Caravan」のリクエストが入って
いたのを思い出して、「たっはっは、キャ、キャラバン〜?」と
食の細い人が、忘れていたメインディッシュを出されたようなことを
言ってはいましたが、
「お、面白れーじゃねーか、やってやろうじゃないか」
「キャラバン? ベンチャーズ・スタイル?」
と斉藤さんがデケデケやっていると、市原さんが、
「それ、キャラバンとちゃうで!」
「ま、普通のキャラバンということで、イントロは歌うドラマーの
 市原にまかせた!」と萩谷リーダー。
というわけで、普通以上にかっこいい「Caravan」が演奏されました。

アンコールは「Skylark」で、「最後に美空ひばりのテーマ曲を」と師匠。
斉藤さんは「ファミレスのテーマね?」。
楽譜で曲名を見ていない市原さんだけが、演奏中、「美空ひばり? え?」。

アンコール曲も無事に終わって満足していたら、拍手が鳴りやまず、
次第にザッ、ザッ、ザッ、ザッと、例のもっとアンコールのコールが。
そうか、いつも聞き分けよく帰っていた僕ら常連ファンは遠慮しすぎ
だったのね? よーし、今度から真似しよう。

ということで、急遽アンコールのアンコールが演奏されることに。
「みんな疲れただろうから、おれ一人でソロにしようか?」と
萩谷リーダーが言うと、「いや、疲れてません」とバケモノ斉藤氏。
ということで、最後は定番の大ブルース大会で幕となりました。

第1セットが60分、第2セットはなんと80分超えの大盤振る舞いで、
たいへんお得な関内ナイトでした。